Indian Legend:インディアン伝説
ホピ族の神話
現在アリゾナ州に居留区を持つアメリカ先住民族であるホピ族は、南米のマヤ、アステカ文明などの文明と同じように宇宙・世界の創造から現在に至るまでの神話を持っています。
彼らは、遠くは南米アステカ民族とも姻戚関係にあるといわれ多くの共通点が指摘されています。
3大宗教といわれるキリスト教、イスラム教や仏教もそれぞれ天地創造の神話を持っています。これらで伝えられている内容とホピ神話の内容には共通点が多い事に驚かされます。
しかし、ホピ神話がこれらと大きく違っているところは、今生きている現代から未来も予言されているところです。それは明確な言葉で残されているのです。
ホピの神話の中では、世界は3世代にわたる過去を持ち、今は第4世代を生きている事になっています。
第1世代「火」、第2世代「氷」、第3世代「水」にそれぞれ人間は生きました。人口が増え文明が発展すると創造主タイオワへの信仰を忘れるものが多くなり、次第に人間は堕落していったのです。その度にタイオワは世界を滅ぼして作り変えました。タイオワに選ばれた信仰深い者たちとあらゆる動物はこの破壊から救われて次の世界を担ったのです。
聖書においても「バベルの塔」「ソドムとゴモラの破壊」「ノアの箱舟」など神の手による創造と破壊が繰り返されています。
「創造と破壊」は世界中の民族の間で神話として語り継がれ、人類の歴史は天変地異など厄災の連続であったのでしょう。
カチーナについて
アメリカインディアンたちは自然界には多くの精霊が存在して人と神と結びつけていると考えています。
それら精霊はカチーナと呼ばれ「尊敬すべき精霊」として敬われています。
カチーナは動物、植物、鉱物の霊、雲や星の霊などあらゆるもの存在し、生きた人間の霊も含まるとされています。それは生前に特別な力をもち、人々に強いインパクトを与えた人、あるいはとても愛された人は、死後カチーナとして存在して永遠に人々に記憶されるとされています。
カチーナの数は知られているだけで335種以上。カチーナは神ではなく、人間と神との中間に位置する存在です。人間に援助と導きを与え、人間の祈りを神に運ぶ媒介者であるとされています。
儀式では伝統的な衣装をつけて踊ります。これにより精神がカチーナに近づき、その力にふれる事ができるとされているからです。
男たちはカチーナを人形を作り、女性や子供に与えて、そのカチーナ人形は家族を守る神として崇められます。
カチーナ人形は種類が多くあり300種類以上とも言われています。
定住民族であるズニ族とホピ族の作るカチーナが有名であり、コットンウッドの根や松から作られています。
本来、儀式のために作られていたものであり、それらを手に入れることは相当難しく、手に入るとしても大変高価です。
今ではナバホ族も含め他の部族もカチーナ人形を作り、一般的にはこれが主流となっています。
EAGLE イーグル |
SUM FACE サンフェイス |
BADGER アナグマ |
ホピの神話の中で、現在を意味する第4の世界に人類が到達した時、人々は永住の地を探して長い旅をします。
この時カチーナは、いくつかに分かれた部族に随行して行くことが語られています。
神話の中では、カチーナは霊でありながら普通の人間の姿をとって現れ、カチーナ族と呼ばれていました。
ある族が遠い南の熱帯に巨大な街を築き栄えたが、他からの襲撃で街を捨てなければならないときがきました。
カチーナ族の指導者は人々を集めてこう言ったとされています。
「われわれは霊であり、これからはあなたたちの目には見えなくなるだろう。いまが別れのときである。われわれはこれから高い山に行き、そこであなたたちの願いを待とう。助けが必要になれば、いつでも鷲の羽「パホ」を捧げよ。そして儀式のときにわれわれの仮面と衣装をつけ、われわれを思いだすように。」
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ココペリ:Kokopelli
数多くのカチーナの中でも、最も愛されてなじみが深いのがココペリであり、豊穣、繁栄の神として人々に信仰されています。
インディアンたちが鷲の羽には霊的な力があると信じる話が、ホピ神話の中の人類移動の中で語られています。 | ||
* | あるとき、山の峰にさしかかった彼らは、土地を守っている巨大な鷲に出合いました。 マフのひとりが土地に住む許しを乞うと、鷲は 「お前たちの強さを試して、それに合格すれば住んでも良い」と言います。 そして足にもっていた矢の一本を抜き、ひとりのマフの目に触れんばかりに矢の先を近づけましたが、マフは瞬きひとつしませんでした。 鷲は、今度は弓に矢をつがえ、ふたりのマフのからだを射抜きました。マフは矢をからだに突き刺したまま笛をとりだし、美しい音色の曲を吹きました。矢に射抜かれたマフはさらに美しい曲を吹き続け、高揚した霊の力で体の傷をも癒してしまいました。 鷲はいたく感心し、彼らに住む許可を与え、創造主に話しかけたいときはいつでも鷲の羽を使うように教えました。 キリギリスに似たマフは、背中の曲がった笛吹き、カチーナであるココペリとして知られています。 ホピの言い伝えでは、カチーナははるか120キロ南西のサンフランシスコの山頂付近に住んでいて、年に数回、彼らはホピの村にやってきてダンスを披露して人々と交流します。村ではコーンミールや羽を捧げてもてなし、雨や豊作を祈願します。 |
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また、繁栄の印としても語られています。 | ||
* | 昔、オライビの村が初めてつくられたとき、カチーナであるココペリは祖母とともに村の近くに住んでいました。 オライビには素晴らしく美しい少女がいて、村の若者がどんなに言い寄っても振り返りはしませんでした。少女は毎日欠かさずメサのへりまで歩いて行き自らを慰めていましたが、そのことに気づいたココペリは、自分の家から長い長い穴を掘り、家に居ながらにして自分のペニスを少女に到達させました。 少女は身に起こった事態にまったく気づきませんでしたが、新たな感覚に引かれて前にも増してその場所に通ってくるようになりました。 ある日、少女は身寵もります。子どもの父親がいったい誰なのか、周囲はもちろんのこと少女にも見当がつきません。 しかし、それはほどなく明らかになりました。村で徒歩競争が行われ、男という男がゴールインした後、赤ん坊に花束を手渡す場面がめぐってきたからです。赤ん坊は父親の差しだす花束しか受け取りません。 その日、少女の赤ん坊が、最後にゴールインした背中の曲がったココペリ・カチーナから花束を受け取ったとき、人々は真実を知りました。 少女はみなの勧めに従ってココペリを家に迎え入れ、少女は幸せに暮らしました。 というのも、ココペリはカチーナであり、家族に何ひとつ不自由させず多くの雨をもたらしてくれたからす。 |
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